QS World MBA Tour Event

アビームM&Aコンサルティング株式会社 代表取締役社長 岡 俊子 氏へのインタビュー

PDF
Print
E-mail

岡 俊子 氏

岡 俊子氏は、アビームM&Aコンサルティング株式会社(AMC)の代表取締役社長です。

1.御社の事業やビジョンについて、お聞かせください。

 アビームM&Aコンサルティング株式会社(AMC)は、2005年4月、アビームコンサルティング株式会社(旧デロイトトーマツコンサルティング)の戦略&ファイナンス事業部が分社化される形で設立されました。

 AMCは、FA(フィナンシャル・アドバイザリー業務)をはじめ、バリュエーション(企業価値評価)やデューデリジェンス(事業精査)などの M&Aのトランザクションに関するサービスだけでなく、事業戦略やM&A戦略の立案から、M&A後のバリューアップ支援まで企業 価値向上のためのあらゆる支援を提供しています。

 AMCの特徴は、もともとビジネスコンサルティングの会社ですので、M&Aをファイナンス上のいわゆる損得勘定の視点だけから議論するのではなく、ビジネスの視点からM&Aの意義やスキームを議論することができる点です。


2.現在のお仕事に就くに至った経緯をお聞かせください。

  一橋大学卒業後、アビームコンサルティングの前身である等松トウシュロスコンサルティングに入社しました。1992年ペンシルベニア大学ウォートンスクー ルでMBAを取得。 帰国後、外国企業の日本市場参入戦略を中心とした業務に従事していました。通産省の外郭団体である対日投資サポートサービス(FIND)にも出向したこと もあります。

 このころから、外国企業の対日投資の形態が、日本企業との提携等による市場参入からM&Aを通じた市場参入に移行してきたため、次第にM&A案件に携わる機会が増えてきました。

 90年代後半からは、日本企業の再生企業案件や、日本企業による日本企業のM&Aの案件が増加してきましたので、外国企業による日本市場参入の ためのクロスボーダーのM&Aに限らず、広く一般のM&Aの案件に携わるようになり、現在に至っております。


3.MBAの知識やスキルが御社のビジネス現場でどのように活かされるとお思いですか?

 ウォートンスクールでは、ファイナンス&アカウンティングのダブルメジャーでした。M&Aで学んだファイナンス理論は、まさに現在の業務を遂行するための必須の知識です。
 
 また、私がウォートンスクールにいた90年代初頭に米国で起こっていたことが、今日本のM&Aの現場で起こっていますので、常に「USにいた時はどうだったか?」と思い返しながら、日々の仕事を行っております。
 
 M&Aに携わっている方々はMBAを取得した方が多いですので、共通の知人や友人がいて、いわゆる同窓会的な仲間意識から、業務上のネットワークの構築がスムーズに進めやすいという側面はあると思います。


4.御社で求められる英語のスキルについて、お聞かせください。

 AMCでは、クロスボーダーの案件も取り扱っていますし、私自身が内閣府の対日直接投資専門部会の委員をやらせて頂いている関係上、既進出企業や潜在的進出企業を含め、外国企業との接点が多くあります。
 最近では、日本語が堪能な外国の方も増えていますが、そうでない外国の方々とも好むと好まざるともコミュニケーションをとる必要があります。

 社内文書の多くも英語ですので、英語での読み書きはもちろん、場合によっては、英語でプレゼンテーションや交渉ができることが求められます。


5.次世代のビジネスリーダーに求められるものは、どんなものであるとお考えになりますか?

 リーダーは、組織や社会において多くの人々に将来の方向性を示すことが大切です。管理者であるマネジャーとは異なります。

 今、日本も世界も大きな変化の中にあります。今後、世の中がどのように変わっていくのか、その中でどのような価値を社会に提供できるのか、これを明確に捉え、変化に適切に対応する能力が求められています。


6.座右の銘がございましたらお聞かせください。

 人事を尽くして天命を待つ

 「失敗や後悔はない」と言いきれたら良いのですが、実際にはあります。年齢を重ねると、経験に基づいた行動ができるようになり、対処療法もうまくなるので、大怪我をすることは少なくなりました。

 それでも、私達の仕事は、常に新しい分野を開拓していかなければ時代から取り残されます。新しい分野では、経験測がきかないため、どこで怪我をするかわかりません。しかし、だからといって、そのような新しい分野にチャレンジする精神を失ってはいけません。

 自分がその場でできる最善のことは全てやり尽くそう、それがプロフェッショナルだという意識で仕事をしています。結果は、天のみぞ知るです。「結果がどうなっても後悔はしない。あの時はそれ以上のことはできなかった。」と言いきれる仕事をしていきたいと思っています。


7.一番尊敬する人物は誰でしょうか?また、その理由をお聞かせください。

 一番と言われると特定するのが難しいです。尊敬する方は、多くいらっしゃいます。仕事に対する姿勢の面ではあの方を、ポジティブ思考という側面ではこの方を、というように場面場面で多くの異なる方を尊敬しています。良いとこ取りなのでしょうか。


8.好きな本、またはお勧めの本をお聞かせください

 本は、雑読系です。

 社員や友人に薦められた本にはできるだけ目を通しています。「今月のワンワード」的に影響を受けています。本もまた良いとこ取りなのでしょうか。ただ、塩野七生さんなど歴史書からは学びが多いので、本屋さんではつい立ち寄ってしまいます。


9.ビジネスリーダーとしての経営哲学、または経営するうえでの心構えについてお聞かせください。

  最近、思うのは、「他人のために行ったことの半分が返ってくればイーブン」ということです。人間は、自分がしてあげたことを、他人からしてもらったことよ りも、多く見る傾向があるような気がします。自分がしたことと同じ分だけ返してもらおうと望むと、どうしても相手への期待・要望・不満などが多くなりま す。

 一人一人の社員に対して私は何をどれ位やってあげられるのか常に気にかけています。結果、社員が自己実現や成長を実感できているか、次の仕事をワクワクしながら待っているか、夜寝る時に明日が楽しみだと思えるか、これらをいつも気にかけて、組織を運営しています。


10.MBAを目指す方々に対して、力強いメッセージをお願いします。

 MBA の取得には2年という長い年月がかかります。準備期間を入れると3年越しになることもあるでしょう。投資額も相当に上るはずです。プライベートの生活を犠 牲にしなければなりません。人生において実務経験を重ねるための貴重な時期を勉学に振り向けなくてはなりません。

 しかし、これだけの時間を費やしてMBAを取得したことを後悔しているMBAホルダーはいません。これは、MBAの取得がいかにその後の人生に大きなプラスをもたらしているかを物語るものだと思います。

 MBA ホルダーは、口に出してこそ言いませんが、有形・無形のプラス面を日々実感しているのではないでしょうか。 チャンスがあるのでしたら、ぜひ、MBAを取得して、自分でそれを実感していただきたいと思います。そして、「取得して良かった」と思ったら、周りに感謝 し、得た分は、次世代あるいは社会に還元していくのが我々の使命だと思います。


--------------------------------
岡 俊子氏のご経歴:
アビームM&Aコンサルティング株式会社(AMC) 代表取締役社長

1986年に等松トウシュ ロス コンサルティング株式会社(アビームコンサルティングの前身) 入社。トーマツ コンサルティング(グループ内異動)、朝日アーサーアンダーセン株 式会社を経て、2002年9 月にデロイト トーマツ コンサルティング(アビームコンサルティングの前身)にてプリンシパルに就任。2005年4月よりアビームM&Aコンサルティング株式会社(ア ビームコンサルティングの100%子会社)の代表取締役社長。

また、内閣府対日直接投資専門部会の委員、M&Aフォーラム理事、明治大学グローバルビジネス科(MBAコース)や青山学院大学法学研究科大学院の講師、電通イーマーケティングワンや電通ネットイヤーアビームの取締役等も勤める。

一橋大学卒(マーケティング専攻)、ペンシルベニア大学ウォートンスクールMBA(ファイナンス及びアカウンティングのダブルメジャー)修了。米国公認会計士試験全科目合格。
--------------------------------